窓ガラスで遮熱する方法

窓ガラスそのものを交換したり、窓に遮熱フィルムを貼ったりすることで、
太陽の日射熱をはじき返す方法です。

「夏の日差しが暑い」といったお悩みは、ガラスを交換することでも対策できます。

太陽の光には、赤外線、可視光線、紫外線が含まれています。
この中で暑さの原因をもたらすのは、赤外線になります。
赤外線の中で特に影響を及ぼすのは、近赤外線です。

遮熱対策は近赤外線がポイント
遮熱対策は近赤外線がポイント

ガラスで遮熱する利点は、
暑さの原因である近赤外線だけを集中的にはじけることです。

部屋の明るさに大きく関わる可視光線も
ほぼ今まで通り取り入れることができます。
部屋が暗くなることがありません。

その点で言いますと、外側で遮熱するブラインドなどの場合は、
可視光線も同じくらいカットしてしまいますので、
部屋も暗くなってしまうのです。

遮熱ガラスの場合は、日射熱の6割ぐらいをはじき返す力を持っています。

日射熱の残り4割は室内に入り込みますので、
暑さの原因を完全に抑えて取り除くことはできません。

それでも、通常の板ガラスは1割程度しかはじき返していませんので、
太陽から届く日射熱の9割が室内に入り込んできています。

遮熱ガラスに交換することで、今まで9割入り込んでいた日射熱を
4割程度にまで抑えることができます。

つまり、今までのガラスと比べれば日射熱を半分以下に抑えられるのです。

実際に遮熱ガラスに交換したお客さまから伺う声は、

・夏の日中のエアコンの効きがとてもよくなる。
・今まで日差しで床が熱くて触れなかったのが、なんともなくなる。
・冬は、ポカポカ温かったのに寒くなってしまった。

遮熱ガラスの近赤外線をはじく力というのは、
夏に大きなメリットを発揮するのですが、
冬は逆に高い遮熱性能が欠点になってしまいます。

夏は涼しくても、冬に寒すぎてしまうことも・・・
夏は涼しくても、冬に寒すぎてしまうことも・・・

冬の室内にも、温かい太陽光を取り込みにくくなることで、
部屋は寒くなり、冬の光熱費は逆に上がってしまいます。

1年を通して考えても、冬の寒い時期というのは、
夏の暑い時期よりも長いため、光熱費はあがるとされています。

それでも、窓の外側で遮熱対策ができにくい環境であったり、

「とにかく冬は寒くなってもいいから、この西日の暑さをいくらかでも和らげたい」と
お考えであったりする方には、

ガラスで遮熱対策することは有効な手段だと感じています。

そもそも、ガラスでの遮熱とは?

通風シャッターやよしずなどでしたら、
遮熱できるメカニズムがなんとなく分かるかと思います。

ガラスの場合はどうなのでしょうか?そのお話をしたいと思います。

先ほど説明した通り、
太陽の光には赤外線、可視光線、紫外線が含まれています。

太陽の光を明るいと私たちは感じますが、これは可視光線の力によります。

なのでこの可視光線をカットしても、
目的である「遮熱」することはできません。

「じゃあ、紫外線をカットすればいい?」
夏を涼しくしたい今回の目的であれば、それも違います。

紫外線は日焼けの原因になるので暑い光と思われがちですが、
この波長を抑えても遮熱の効果は発揮されません。

夏を涼しく過ごすには、赤外線をカット!
夏を涼しく過ごすには、赤外線をカット!

夏を涼しく過ごしたいのであれば、
赤外線、その中でも近赤外線を抑えることができるガラスの選択が必要です。

ガラスの遮熱性能は、日射取得率の値をみる!

ガラスにも性能証明書のようなものがあります。
それぞれの数値を見ることでガラスの性能が分かります。

日射熱取得率の値が基準になる
日射熱取得率の値が基準になる

遮熱が目的でガラスを選びたい場合は、『日射熱取得率』の値を基準にします。

日射熱を完全に取り込まなくするのであれば、日射取得率0.00。
100%取り込みたいのであれば、日射熱取得率 1.00。

という指標になります。

普通のガラスの値は0.88くらいです。
遮熱を体感したいのであれば、0.50以下のガラスを選ぶ必要があります。

日射熱取得率の数値が低いほど、
遮熱する力が高いということになるのです。

太陽光をどれだけ透過するか、グラフを読み取る!

例えばスーパーで売られている食品(パッケージ)の裏には、必ず成分表なるものがあります。
それを見れば、炭水化物、たんぱく質などの量が分かります。

今回お話させて頂いている窓ガラスの日射に関しましても、日射に関する成分表なるものがあります。

例えば、
・紫外線は防げるけど、夏の暑い日差しは防げない
・明るさ(光)は通すけれど、暑い日差し(波長)はあまり通さないなどなど・・・。

こういうこともガラスの成分表で分かります。
その成分表を更に詳しく表わしたのが次の分光透過曲線のグラフになります。

太陽の光は、紫外線、可視光線、赤外線の3つの波長に分けることができます。
太陽の光はこの3つの波長で成り立っていると思って結構です。

波長の長さを見てみると、

 0~0.3くらいが紫外線
 0.3~0.7くらいが可視光線
 0.8以上が赤外線

と区分されています。

この3つの波長をどれだけ透過するのかが分かるのがこのグラフになります。

遮熱対策の目的は、太陽の暑い日差しを和らげること。
ですので、赤外線を強くはじき返してくれる窓ガラスを選べばよいことになります。

赤外線の波長は、0.7~15くらいと言われています。
主に0.7~2.5くらいの近赤外線が日差しの暑さの原因になります。

日差しを和らげるガラスを選ぶのでしたら、
0.7~2.5くらいの近赤外線の波長を可能な限りカットしてくれるガラスを採用すればいいことになります。

グラフの波長0.8の透過率を見ていくと・・・

3mmのフロート板ガラスは、80~90%の近赤外線を透してしまうことが分かります。
Low-E膜のない複層ガラスは、70%くらいは近赤外線を透すことが分かります。

このように見て行きますと、
ペアマルチスーパーという断熱タイプのLow-E膜のあるペアガラスでも、
60%は透してしまいます。

日本板硝子の遮熱高断熱複層ガラス ペアマルチレイボーグになると、
30%しか透さずに遮熱できることが、グラフからも分かります。

このくらいまで透過率が低くなると、実際に取り付けた際に
日差しがだいぶ和らいでいることが確実に実感できると思います。

さらに近赤外線をカットしたいならば、
遮熱高断熱複層ガラス エコクールという製品もあります。

窓ガラス自体で遮熱するためには、どんな製品があるの?

ガラスそのものを交換するか、ガラスにフィルムを貼り付けるか、基本的にどちらかになります。

遮熱高断熱複層ガラス

遮熱対策に優れているガラスとはどのようなものなのでしょうか。
それはLow-E金属膜をコーティングされた複層ガラスになります。

Low-E金属膜について

このLow-E金属膜とはいったいどのようなものなのでしょうか?
窓ガラスに使われるLow-E金属膜にはいくつか種類があります。

遮熱対策では、太陽光の中でも熱いと感じる波長、
つまり、近赤外線を強くはじき返すLow-E金属膜を採用します。

この金属膜は湿度に弱いため、複層ガラスの間にセットします。

下記の図は、複層ガラス(ペアガラス)を横から見た断面図です。

遮熱高断熱複層ガラス

遮熱高断熱複層ガラスの断面図
遮熱高断熱複層ガラスの断面図

室外側のガラスにLow-E金属膜をコーティングすることにより、
窓から入ってくる強い日差しを大幅に和らげてくれます。

冷房を切っても涼しさが長持ちするので、
寝苦しい夏の熱帯夜もずいぶん解消されます。

専門店では、遮熱高断熱複層ガラスと呼んでいます。

強い西日に悩まされている部屋に大変お勧めですが、
冬場に太陽のぽかぽか感を取り入れたいお部屋には、
お勧めができません。

原則、半永久的に使える製品ですので、
寿命がきてまた交換し直すといった必要はありません。

○近赤外線を集中的にはじき返すので、明るさはそのまま。
○お手軽な工事。
○冬の結露対策にも大変有効。
△夏の日差しは抑えられるが、冬は逆に寒くなる。

遮熱合わせガラス

遮熱フィルムを合わせたガラスです。
断熱性能は発揮されにくく、遮熱のみの対策になります。

遮熱フィルム

窓ガラスの遮熱対策で最もお手軽で効果がある方法が遮熱フィルムを貼ることです。

ただし、遮熱フィルムは、剥がれたりすることもあります。

お問い合わせ